映画【 ツイスターズ 】これぞアトラクション映画!もう一度観たくなる解説&感想

引用:映画『ツイスターズ』公式サイト

当ブログでは皆様の映画選びの一助になる情報と感想をお届けしております。
この記事を読めば、あなたもきっとこの映画を何度も観たくなります
是非最後までお付き合いください。

では、行きましょう!

この記事でわかること

●映画『ツイスターズ』のおもしろさ
●映画『ツイスターズ』の解説
●映画『ツイスターズ』の楽しみ方
●映画『ツイスターズ』を4DXで観た感想
●映画『ツイスターズ』の惜しかった点
●映画『ツイスターズ』の推しポイント!
竜巻(トルネード)の豆知識

ゴマ

どんな映画なの?

こま

久々のディザスタームービー(災害映画)だね。トラウマを抱えたヒロインが巨大竜巻に挑むんだよ

目次

映画『ツイスターズ』の概要と製作体制

竜巻が多数発生するオクラホマを舞台に、ストームチェイサーチームが巨大な竜巻に立ち向かう姿を描いたアクションアドベンチャー映画です。

監督はリー・アイザック・チョン。原案は『ツイスター』同様、マイケル・クライトンとアン・マリーマーティン夫妻。脚本は、『レヴェナント:蘇えりし者』(2015年)のマーク・L・スミス。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ。と、堂々たる座組です。

『トップガン マーヴェリック』の監督であったジョセフ・コシンスキーが、スピルバーグに「『ツイスター』の続編がやりたい」と売り込んだのが最初。紆余曲折あって監督候補は何人も変わり、最終的にリー・アイザック・チョンに話が来たのだそうです。(コシンスキーは原案でクレジットされています)

リー・アイザック・チョンは『ミナリ』の監督です。『ミナリ』は高く評価されて様々な賞を受賞しましたが、規模としてはこじんまりしたドラマでしたので、いきなりのブロックバスター映画への抜擢ということになります。でも本作の舞台であるオクラホマ州の隣のアーカンソー州で育った人なので、ある意味適任ともいえます。本作には、リー・アイザック・チョン監督の色がちゃんと出ています。

製作会社は、ユニバーサル・ピクチャーズ、ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ、アンブリン・エンターテイメント。3社、凄い並びです。

上映時間は122分です。レイティングはGです。

ゴマ

映画『ツイスターズ』のざっくりあらすじです

映画『ツイスターズ』のあらすじ

気象を読む天才であるケイトは学生時代にオクラホマでの竜巻調査で事故に遭い、大きなトラウマを抱えてしまう。5年後、彼女はニューヨークで気象の仕事をしていたが、旧友のハビに頼まれ、竜巻の調査に協力するため再び故郷へ戻る。色々なチームが竜巻を捉えるために競い合う中に、竜巻ユーチューバーのタイラーの姿もあった。ケイトたちは前代未聞の“竜巻破壊計画“を立てて、街を襲う巨大竜巻に挑むのだが。

といった筋書きです。

ゴマ

この映画の評判はどうなのかな?

こま

観客の評判はかなり良くて、ヒットしているみたいだね

映画『ツイスターズ』の評判はどう?

本作は、本国で大ヒットしています。初日から3日間の興収は、2024年公開作の中で第3位。ディザスターパニック映画としては、歴代No. 1のオープニング成績を叩きだしています。公開5日目に累計興収1億ドルを突破しました。

評価は、米ロッテントマトのトマトメーター 75%、オーディエンス 91%。
Filmarks 3.9p、映画COM 3.9p。

評判は上々のようで、一般客は楽しんでいるみたいですね。

ゴマ

鑑賞前の“予習”は必要?

こま

『ツイスター』の続編だということだけど、事前に観ておく必要はないよ

前作について。予習は必要?

『ツイスター』(1996年)の続編ということですが、前作との関連性はほぼありません。露骨な続編でもないし、リブートでもないしという感じです。でも話の骨格は『ツイスター』と同じです。

『イントゥ・ザ・ストーム』(2014年)を彷彿とさせるシーンもあって、多少の影響を感じます。

『ツイスター』の監督は、『スピード』のヤン・デ・ボンでした。作品の評価はあまり高くありませんが、筆者は好きです。DVDも持っています。
筆者がこの作品を観てアガったのは、当時事前にストームチェイサーのドキュメンタリー番組を観ていたからです。映画では、多数の小型のセンサーを竜巻に巻き上げさせて内部のデータを取るということをするのですが、実際にそういう研究をしている人達がいるのを知っていたので、架空の話ではなく現実に近いものとして観た記憶があります。前作で出てきた「ドロシー」という装置は、本作でも登場します。

『ツイスター』は良くも悪くも90年代映画の特徴がありました。西部劇のスタイルです。痴話喧嘩中心のドラマ展開でしたが、竜巻を追いかけるのがメインなのでドラマシーンは大して大事ではありません。

デ・ボン監督にはハリウッド版『ゴジラ』の企画が幻になったという経緯があります。後にその企画は、エメリッヒ監督版『GODZILLA』(1998年)として実現します。
そういうこともあって、この映画でのツイスターは、“怪獣”という感じで撮られているのが印象的でした。

因みに、本作の予習に『ツイスター』を事前に観ておく必要はありません。どちらかというと、鑑賞後に観ることをおすすめします。筆者も鑑賞後に観直しました。

ゴマ

4D版での鑑賞はどう?

こま

4Dのためにあるような作品なので面白い!おすすめだよ

映画『ツイスターズ』を4DXで鑑賞した感想と吹替え版

筆者は4DX、吹替版で鑑賞しました。
4DXでの鑑賞はジョン・ファヴローの『ジャングルブック』(2016年)以来です。4Dは落ち着かないので個人的には好きではありません。しかし本作に関しては、“4DX向きではないのか”と興味が湧きました。

本作を4DXを観た感想はというと、とても面白かったです!
手すりにしがみついてましたー。嵐のシーンでシートからずり落ちそうになって、嵐が去ると体を元の位置に戻して、また嵐が来てずり落ちそうになって〜、を繰り返してました。

振動・傾斜・風・水しぶき・発光と4Dのためにあるような作品です。真夏の灼熱にさらされた体も、水と風ですっかり涼しくなりました。
本作は登場人物たちが車で移動するシーンが多いので、4Dとの相性がいいです。車と竜巻でずっと座席が動いてる感じです。もちろんドラマシーンではじっとして動きません。

通常の戦闘アクションだと主人公がパンチした時も、敵がパンチした時もどっちも背中にドンッと同じ振動が来て、どちらに感情移入していいのか分からなくなるのですが、本作に関してはそんな矛盾は感じませんでした。画面に映っていることを、登場人物も観客も同じように感じることが出来るからです。

4DXは吹替版でした。主人公ケイトを小芝風花、タイラーを津田健次郎が演じていました。小芝さんは不慣れな感じはありますが、気になるほどではありませんでした。声の印象はヒロインに合っていると思います。津田さんは相変わらずいい声です。字幕 or 吹替のどちらかで迷ったら、本作に関しては吹替版でいいと思います。

でもやはり落ち着かないです。臨場感が増すというより、アトラクション感が強いです。
天井のデカい扇風機のぶぉーという音は少し気になりましたし、スクリーンの前に立ち上るスモークはちょっと邪魔でした。

炎天下にテーマパークで並ぶ気はないけど、ちょっとアトラクション感を楽しみたいという方には4DXはうってつけです。
本作はIMAXカメラでの撮影ではありませんが、ディザスター物なのでIMAXもありだと思います。

このあと物語に触れるので、少しネタバレします
でもネタバレ云々が重要な映画ではありません。読んでも致命的ではないと思いますが、ネタバレがダメな方はご注意ください

ゴマ

この映画の特徴をおしえて

こま

本作は竜巻アクション映画だけど、意外に人間ドラマがしっかりしてるんだよ

映画『ツイスターズ』の特徴

本作の特徴として、ロケ撮影が多いことが挙げられます。オクラホマの自然描写が随所に映されるのは、リー・アイザック・チョン監督ならではではないかと思います。
35mmフィルムを使って、90年代の質感を持った映像に仕上げていることにも拘りを感じます。

前作『ツイスター』が公開されてから28年になります。ツイスターと似ている所やオマージュは多いですが、上手いところで改変していると感じました。

『ツイスター』との一番の違いは、人間ドラマもちゃんと描かれている点です。流石『ミナリ』の監督です。
前作はストーリーがあって無いような映画でしたが、本作はしっかりと物語があります。
前作はCGが新鮮で、CGそのものが主役に成り得た時代の作品でした。現代ではもうCGだけでは誰も驚きません。そういう時代に物語にポイントを移したのは、自然な流れだと思います。
といってもあくまで主役は“竜巻”です。そこは抑えつつ、しつこくない程度にバランスよくドラマが展開されます。オクラホマの田園風景も相まって、割と爽やかなヒューマンドラマに仕上がっています。

ゴマ

ストーリー展開にも特徴があるの?

こま

トランプ元大統領が大喜びしそうな展開なのでびっくりしたよ

映画『ツイスターズ』の物語の構成

「ストーリー上の到達目標 = 竜巻を消す = 人が助かる = 主人公のトラウマの克服」と繋がっていて、分かりやすい構造になっています。

最初は主人公に敵対すると思っていた人達が意外にいい人たちで、味方だと思っていた人たちがそうでも無かったという、敵味方構造の逆転が中盤辺りで起こるのも面白いです。

今時このような作品で一番声高に言いそうな“気候変動”や“地球温暖化”については一切触れられません。これは意外でした。
構造的には、近代的な装備を持つカッコいいミニバン車に乗っているチームが田舎のトラックチームに負けてしまい、北部のスマートなニューヨーカーが南部のオラオラ竜巻野郎に気持ちが傾いていきます。
いかにも民主党支持者が共和党支持者にやられるという展開になっています。そろそろアメリカ大統領選が騒がしい時期になってきましたが、トランプさんが大喜びしそうなストーリー運びです。とても民主党支持のスピルバーグがOKしたとは思えないストーリーに仕上がっていて、とても興味深いです。

ゴマ

前作から変わっているところはあるの?

こま

いろんなところが現代的にアップデートされているよ

前作『ツイスター』からのアップデート

前作では「竜巻のデータをとる」ことが物語のゴールでしたが、本作はさらに踏み込んで「竜巻を消す」話にアップデートされています。科学的に竜巻を消すというのも分かりやすくて新しいと思います。

絶対的な敵がいなくて、勧善懲悪話になっていないところも現代的だなと感じました。

ユーチューバーがメインキャストなのも新鮮でした。特に本作のユーチューバーチームは海賊的でも迷惑系でもないので、ギャップ萌え効果があって応援に気持ちが乗りやすいです。

ケイトもユーチューバーチームも人助けをやろうとしている(竜巻よりも人助けが一番)ところが、新鮮で現代的な描き方だなと感じました。前作では大好きなメイおばさんを助けるシークエンスはありますが、それ以上は描かれません。本作では登場人物たちが街の人達を助ける活動をするシーンがしっかり描かれています。

タイラーは“ストームカウボーイ”としてユーチューバーをしています。“カウボーイ”は最近の映画では、よく有害な男性性の象徴として描かれますが、本作は彼をそういう男性像に描いていないのも現代的だと感じます。グレン・パウエルの魅力もあって、まともなヤツに見えます。

今までのストーリーであれば、チャラチャラしたユーチューバーは真っ先に死にそうなキャラでしたが、類型的且つ見た目で判断してはいけません。本作のユーチューバーは簡単に死にません

オープニングでこのメンバーで話が進んでいくんだろうなと、思っていたら裏切られました。この子は助かってくれとか助かるだろうなと思っていたメンバーが、根こそぎ巻き込まれるのには驚きました。最初に好感を持ったメンバーがやられてしまうので、その記憶が後の展開に安心感を与えず、誰が被害に遭うのかとハラハラするようになっています。

本作はディザスターものとしては珍しく女性が主人公です。前作も女性主人公でしたが、完全に独立している訳ではなく、基本的に男女2人で竜巻に対応します。
一方本作のクライマックスでは、主人公ケイトがひとりで巨大竜巻に立ち向かう姿が描かれます。この点も現代的にアップデートされていると感じます。

ゴマ

出てくるキャラクターについておしえて

こま

本作には魅力的なキャラがたくさん出てくるよ

上手いキャラクター造形

本作はキャラクター設定が上手いと思います。
最初に出てくる学生チームのメンバーのキャラもいいですし、竜巻ユーチューバーチームの面々も個性的です。学生チームのキャラが印象に残るので、ケイトの苦悩に感情移入しやすいです。ユーチューバーチームの面々は深掘りされませんが、彼らの物語を観たいと思わせる魅力があります。

メインカップルが魅力的です。
タイラーのキャラは意外性がありました。ただの粗野なクレイジーイケイケ野郎かと思っていたら、物語が進むにつれ知的で思いやりがある人物だというのが分かってきます。
「タイラーの良さが段々分かってくる → ケイトが段々惹かれていく」、というのが自然な流れとなっています。でも最終的にはキスすることなく、良き相棒で終わります。この距離感も爽やかで現代的だと感じました。

ゴマ

アメリカは竜巻がたくさん発生するんだね

こま

アメリカでは1年間に1000もの竜巻が発生するんだけど、竜巻の被害の国際的な基準は日本人の研究者が開発したんだよ

本当の竜巻(トルネード)のお話

アメリカでは年間1000の竜巻が発生し、50人前後の犠牲者が出るそうです。サイズは直径数十メートルの小型のものから千メートル以上にもなる大型のものまであります。移動速度は様々ですが、時速百キロを超えるものもありますし、進路は予想できません。とても走って逃げるレベルではありません。
本作に出てくる竜巻は、トレーラーによるとなんと直径2千メートル、時速500kmです。

アメリカの竜巻は異常気象で増加傾向にあります。“竜巻街道”といわれる地域の家屋には地下にシェルターが設置されていますが、近年は今まで発生しなかったシェルターが無いような地域にも、竜巻が発生するようになり、被害が拡大しているそうです。

日本でも時々被害がありますから、他人事ではありません。
本作を観た翌日にお隣のご主人が「昨日近くで50m以上の竜巻(つむじ風)を見た」と興奮気味に教えてくれました。めちゃタイムリーな話題でした。
因みに、日本ではこれまでF4以上の竜巻は観測されていないそうです。

竜巻の被害の大きさはF2とかF3とかいう値で示されます。この基準は日本人で1971年当時シカゴ大学教授であった藤田哲也が提唱したもので、今でも国際的な基準として使われています。つまりこの“F”は藤田のFです。その業績から 「Mr. Tornado」、「Dr. Tornado」と呼ばれたそうです。竜巻の基準を日本人が作ったということに驚きました。この方が主人公の映画を作ったら面白そうです。

竜巻ユーチューバーもホントにいますし、観測を仕事とするストームチェイサーも実際にいます。荒唐無稽に見えて意外に現実的で、割とちゃんと科学的です。
高分子ポリマー(パンパース)で巨大竜巻が消せるのかどうかは分かりませんが、アイデアとしては実際にあるらしいです。

ゴマ

出演していた俳優についておしえて

こま

ケイト役のデイジー・エドガー=ジョーンズが魅力的だったよ

映画『ツイスターズ』のキャストの魅力

主人公ケイトを演じたのは、デイジー・エドガー=ジョーンズ。本作は彼女が非常に魅力的に映っています。『ザリガニの鳴くところ』でも素敵でしたが、本作で更に筆者のお気に入りになりました。
目が大きくてアン・ハサウェイを彷彿とさせる容姿です。顎割れ顔はセクシーな美男美女が多いですが、顎割れ女優界では現在最カワレベルなんじゃないでしょうか。

竜巻ユーチューバーのタイラー役は『トップガン  マーヴェリック』でお馴染みのグレン・パウエル。本作ではパウエルの魅力も大きいです。軽いいいヤツ感が溢れ出ています。

友人ハビを演じたのは、『イン・ザ・ハイツ』のアンソニー・ラモス。ケイトに横恋慕する役でしたが、やっばり彼も爽やかないいヤツなんですよね。

ゴマ

この映画の良かったところは?

こま

アクションとドラマとのバランスがいいですね

映画『ツイスターズ』の良かったポイント

本作は竜巻アクションとヒューマンドラマとのバランスがいいです。どちらかに偏り過ぎることなく、竜巻メインでドラマがサブという辺りのバランス感覚が上手く出来ていたと思います。リー監督の繊細な表現も感じます。

ケイトのトラウマの描き方も重くなり過ぎないバランスでした。主人公を取り巻く三角関係や恋愛模様も軽めで良いです。

人が沢山死にますが、グロいシーンはありません。全体に暗くなり過ぎずに、爽やかな雰囲気で観られます。

先にも挙げたように、ディザスターものにしてはヒューマンドラマがしっかりしています。トラウマを克服する話として筋が一本通っています。

筆者は最後のドリル オチが好きでした。笑っちゃいました。

ゴマ

『ツイスターズ』の残念なところはある?

こま

残念なところもいくつかあるんだけど、特に竜巻の見せ方にはもう一工夫ほしかったな

映画『ツイスターズ』の惜しかった

竜巻アクションの工夫が少ない感じがしました。見せ方も飛来物の表現も前作の方が上手いと思います。
前作『ツイスター』を観直してみると、意外にCG一辺倒ではなく、それ以外の表現で工夫して竜巻の恐怖感を演出しています。90年代の映画らしい表現です。

前作では、例えば『牛が飛ぶ』(しかも2回くる)などの誰もが記憶に残るようなアイキャッチなシーンがありましたが、本作にはありません。前作には外連味がありましたし、見せ方も本作より上手かったと思います。竜巻のサイズ感の出し方も上手でした。

本作はCGに関しては、文句なく進化しているのですが、何か物足りなさを感じます。
もう少しスペクタクル感がほしかったなという気もしますし、ハラハラも少し足りなかったです。

ツイスター“ズ”感も少なかったです。イマイチ複数じゃない。ツインの竜巻は前作でも出てきたから、きっと本作では凄いのが5つも6つも出てきて合体してー、みたいなことを想像していましたが、そうではありませんでした。
終わってみれば、意外に大人しいかったなという印象です。(4DXの座席はめちゃめちゃ動いて凄かったですが)

ハビがケイトにコップの水を使って竜巻の説明するシーンがありましたが、竜巻の消し方についても、同じ様に分かりやすい例えがあればいいなと思いました。

ケイトがオクラホマに再び行く気になった行が、大きなトラウマを抱えている割には意外にスッと心変わりした感じでした。重くなり過ぎないのは、本作の良い点ですが、ここはちょっと「あれっ?どういう気持ちの切り替え?」と思いました。
逆に実家に行ってからのシークエンスが長めでグジグジしてました。

ケイトがニューヨークにいる時に、見学している子供たちが「ニューヨークに竜巻はくるの?」と質問するシーンがあります。「これ絶対フリだな。クライマックスはニューヨークだ」と思っていましたが、勘違いでした。
物語はニューヨークには戻ってきません。であればあのシーンいらないのでは?
コングもゴジラもニューヨークで大暴れしました。「前作がゴジラを撮りたかったヤン・デ・ボンが竜巻をモンスターに仕立てて作った映画なのだから、きっと本作はニューヨークで竜巻が大暴れするのだ!」という妄想は叶いません。

一般的な映画だと、最終的に悪役の落とし前が描かれます。観客はそれを見て溜飲を下げます。前作だと過信したライバルが竜巻にのまれるシーンがあります。
本作の悪役は裁かれるシーンはありません。そこまで悪くないし、死ななくてもいいと思います。ここも本作の新しいポイントだといえます。
ただ気になるのは、ハビのビジネスパートナーだったスコット(次期スーパーマンのデヴィッド・コレンスウェットが演じてました)。竜巻の進路の前で車を降ろされてましたけど。あいつは大丈夫だったのか? そこはちゃんと描いてほしかったです。

筆者的には、竜巻カウボーイチームへのガンバレ感がもうひとつ盛り上がりませんでした。ユーチューバーなのだから、配信を使って被災地の実情を紹介するシーンやチームメンバーの深掘りが少しでもあれば尚良かったと思います。

ユーチューバーの功罪としてファンを現場に引き寄せるということがあります。「良い子は真似しちゃダメだぞ」とは言っていましたが、竜巻ユーチューバーのファンが竜巻の起こる地域に集まるのは容易に予想できます。ですが本作にはタイラーたちのファンが竜巻に巻き込まれるシーンはありません。ユーチューバーをメインに据えておきながら、そこは描かないんだ、という感じです。

ニューヨークならまだしも、竜巻発生地域の住民にしては地元の人たちに準備がなさ過ぎて、慣れてない感じが溢れ出ていたのは不自然でした。

石油プラント火災で竜巻が炎を巻き上げるシーンは、『イントゥ・ザ・ストーム』(2014年)でもやっていたのでフレッシュではありませんでした。もうひと工夫欲しかったです。

ゴマ

『ツイスターズ』について他におもしろい話題はある?

こま

カップルがキスしないことについてはアメリカでも話題になったみたいだけど、こえにはスピルバーグが関わっていたんだって

その他のネタ話

アメリカで竜巻といえば『オズの魔法使い』です。オマージュの小ネタがちょこっと出てきます。チームの車両の名前にしているのは洒落てました。

クライマックスでは、吸水ポリマーなどを詰めた樽を竜巻に飲み込ませます(吸い上げさせます)。この“樽”はジョーズのオマージュなのかな?

本作のカップルはイチャイチャしません。アメリカでは「ファンは最後にキスしないことに困惑した」ということが話題になったそうです。実はケイトとタイラーがキスをする場面も撮影されていて、アメリカでは事前にその情報が流れていたので、観客の多くはてっきり二人がキスするものだと思い込んでいたために、ラストシーンを見て驚いたらしいです。
キスシーンは編集段階でカットされたそうです。キスをカットする判断はスピルバーグの提案によるものだったといいます。製作チームの中でも意見が分かれたそうで、同日に撮影されていた現在のシーンが採用されたのだそうです。
チョン監督もデイジーもグレンもこの判断を称賛しています。筆者も「キスが物語の結末」でないのは現代的でいいと思います。
エピローグもこの雰囲気が繋がっていて、爽やかでいいです。

前作では、ドライブインシアターで『シャイニング』が上映されているシーンがあります。
本作ではそのオマージュとして、映画館のシーンで『フランケンシュタインの怪物』が上映されています。このシーンはとてもメタです。スクリーンの壁が崩れて、その向こうに竜巻が見えます。映画を観ている我々が、竜巻に襲われるような錯覚を生みます。
フランケンシュタイン博士は、嵐と雷を使って怪物を作り上げます。気候変動で増えている竜巻は人間が生んだモンスターです。とても比喩的です。
映った時は「なんでフランケンシュタイン? なんでこんな古い映画に観客が一杯入っている?」と思いましたが。

ゴマ

映画『ツイスターズ』のおすすめポイントです!

映画『ツイスターズ』の推しポイントまとめ

本作は4DXに合っています。久しぶりのディザスター&スペクタクル映画という感じ。4DXだとアトラクション映画です。または最高のエンタメ映画。夏休み映画といってもいいでしょう。

前作に敬意を表しつつ、以前のストーリーを損なわずに新しい要素を加えているアップデート作品です。

ヒューマンドラマや物語のゴールが思いがけずちゃんと描かれています。キャラクターも好感が持てます。竜巻のCGも大迫力です。

誰と誰が見てもOK。ファミリー、仲間やカップルと一緒なら4DX、ひとりで観るならIMAXがおすすめです。または、ディザスタームービーとして観るなら4DX、リー監督の作品として観るならIMAXがいいと思います。いずれにしても子供を連れて行ったら大喜び間違いなしです。
家なら少し不安定な状態で観るとなお楽しめると思います(例えば、揺れる椅子で観るなど。安全には十分お気を付けくださいね)。

このエンディングなら続編があってもいいと思います。その時は是非ニューヨークで竜巻が暴れてほしいです。そうなれば『ツイスターズ』も怪獣映画として完璧となるでしょう。

いかがだったでしょうか。
ぜひもう一度この映画を観ましょう!
そこにはきっと気付かなかった感覚や楽しさ、新しい発見があると思います。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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