当ブログでは皆様の映画選びの一助になる情報と感想をお届けしております。
この記事を読めば、あなたもきっとこの映画を何度も観たくなります。
是非最後までお付き合いください。
では、行きましょう!
<おススメ度>
★★★★★
<ポジティブ感想>
● 今年一番のラブコメお仕事映画です。筆者はとても楽しみました。大好きです。
● 肩肘張らずに観れて、美男美女が出てきて、ちょっと風刺や社会性、時代性にも触れて、エンタメとしてしっかり楽しませてくれて、ハッピーな気持で観終えることができます。
● スマートでテンポよく、明るくてユーモラス。小粋でおしゃれです。笑顔でポジティブな気分になれます。大きく悪いところがありません。
● 脚本が良く出来ていて、センスが良いです。
● キャストもとても魅力的。登場人物に悪意がないので気持ちよく観られます。● コメディなので気軽に観られる所もポイントが高いです。そのコメディ要素は行き過ぎておらず、全てが丁度いい塩梅です。
● お仕事映画の側面も持っていて、メッセージ性もあります。
● 現代のフェイクやCG全盛社会への風刺にもなっていて、意外に深く、スパイスが効いたラブコメとも言えそうです。
● 内容は盛りだくさんで、様々なことを多角的に描いています。伏線回収も上手いです。
● 上映時間132分とやや長めですが、全く長さを感じませんでした。
● 当時の時代性とチャー厶がとても上手く表現されています。そして懐かしい映画の良い雰囲気を持っています。「映画ってエンタメだよね」ということを思い出させてくれます。
● 万人におすすめできます。子供でも、カップルでも、サラリーマンでも、何回観ても楽しめる作品です。
<ネガティブ感想>
● 優等生過ぎるという感じはあります。最近の刺激多めの映画ばかりを観ている人には、やや物足りないかも知れません。
● ジャズの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」はかかりません。
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は動画配信でも観られるの?
現在はアマゾンPrimeVideo、U-NEXT、楽天TVなどで観られるよ
感想については、あくまで個人的な見解、考察ですのでご容赦ください。
一部ネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』はどんな映画なの?
アポロ11号の月面着陸捏造説を元ネタにしたお仕事コメディ映画だよ
映画【フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン】の概要
昔から囁かれている、人類初の月面着陸にまつわる有名な都市伝説をモチーフにした作品です。アポロ計画とその裏で行われる極秘プロジェクトの行方がユーモラスに描かれます。
主演はスカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタム。監督はグレッグ・バーランティ。製作はアップルスタジオです。
スカヨハはプロデュースにも名を連ねていますね。
スカヨハの素敵な声を聞きたいという方には、字幕版がおすすめです。
本作は当初Apple TV+で直接ストリーミング配信される予定だったところ、テスト上映が好評だったために劇場公開されました。現在は Apple TV+ 以外でも配信されています。
映画【フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン】の評価
米ロッテントマト
トマトメーター 65%
ポップコーンメーター 91%
Filmarks 3.9p
映画com 3.9p
本国では賛否両論らしいですが、観客は大いに楽しんでいるみたいですね。
本作のざっくりあらすじです
映画【フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン】のあらすじ
1969年のアメリカ。人類初の月面着陸を目指す「アポロ計画」は開始から既に8年が過ぎ、相次ぐ失敗もあって国民の関心は薄れていた。大統領側近のモーはこの状況を変えるために、PRマーケティングのプロであるケリーをNASAに雇用させる。ケリーは持ち前の行動力で様々な戦略を仕掛けていくが、NASAの発射責任者コールはそんな彼女のやり方に反発を覚える。PRが功を奏し予算の目処も立ち、有人月面着陸計画が再び世界の注目を集める中、モーから「月面着陸のフェイク映像を撮影せよ」という極秘任務がケリーに告げられるのだが。
といった筋書きです。
どんなキャストの演技はどうだった?
スカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムの他にウディ・ハレルソンもいい味を出していたよ
キャストと演技
本作はスター映画にもなっています。
スカーレット・ヨハンソンはとてもチャーミングで素敵です。彼女は色んな役をこなしますが、本作のような演技もピッタリです。
こういうキャラクターでもスカヨハが演じたらウザくないんですよね。『ジュラシック・ワールド』シリーズのブライス・ダラス・ハワードがやっていたら、こうはならないんですよね。この役でスカヨハがオスカー候補になったら楽しいですね。
チャニング・テイタムもいい感じでした。演じたのが堅物男で、彼が得意なコメディ側ではないのも面白いです。
ウディ・ハレルソンもモーの背景に何があるのか分からない、謎に満ちた雰囲気がよく出ていて良かったです。
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』はどんなことを描こうとしてるの?
近頃蔓延しているフェイクに対する批判やCG映画全盛時代に対する風刺が込められているね
映画【フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン】のテーマ
「真実がフェイクを超える」というのが本作のテーマのひとつでしょう。
ケリーはフェイクの名人です。仕事にも、自分自身にさえフェイクを使います。でもコールの誠実さや真摯な仕事ぶりに触れ、ケリーは変わります。
現代のフェイクに対する批判やCG映画全盛時代に対する風刺も込められているのだと思います。その映画を製作したのが、ITの雄である“アップル”だというのも面白いです。
発射シーンが本物の映像かCG合成か分からないのもミソです。
予告編だけ見たらフェイク映像を作るのがメインに見えますが、本編はそうではありません。この予告編も観客を誘導するためのフェイクになってますねぇ。
ケリーは「嘘が本当になる」と言います。嘘がホントに見えてくるのは現代も同じです。人々は真実かどうか分からない情報をネットで見て、自分が信じたいものだけを信じる風潮です。真実かどうかは関係ないのです。でも本作は「真実はフェイクを超える」のだと訴えます。
人物に焦点を当てると、本作は大人のラブストーリーと過去の過ちからの再生の物語であることが分かります。
2人にはそれぞれトラウマになっている秘密を抱えていますが、それを乗り越えて、夢と目標を達成していきます。
タイトルを邦訳すると「私を月に連れてって」。ケリーにとっての、フェイクではない“月”とは何か。コールは彼女をそこに連れて行ってあげられるのか。それは本編を観てのお楽しみです。
この映画を観て、どこが良かったの?
良く出来た脚本で、ラブコメお仕事映画としてお手本みたいな完成度だよ
映画【フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン】のポジティブ感想
本作はサスペンスではありません。ラブコメ&お仕事映画です。
一言で言って面白かったです。とても楽しみました。筆者は好きです。
良く出来た脚本だと思いました。この手の映画のお手本みたいな完成度です。若い頃のスピルバーグが撮っていそうな雰囲気も持ち合わせている優等生な作品でした。
開始早々、ケリーが人を虜にする天才的な詐欺師であること、コールが箒でガス漏れをチェックするというエピソードで当時のNASAの状態をササッと紹介します。とても手際が良いです。
コールとケリーの出会いの場面も良かったです。それぞれのキャラクター性を出しつつ、とてもスマートに演出されていました。
チャニング・テイタムが2度見する感じ。分かります。スカヨハが座っていたら、誰だって何度でも見ちゃいますよ。
コールとケリーが飛行機で夜の空を滑空するシーンは、とてもロマンチックでした。空飛ぶ絨毯みたいで「ホール・ニュー・ワールド」が流れてきそうでした。
本作は時代の雰囲気がよく出ています。
ぶっちゃけ月面フェイクの行は無くてもストーリー自体は成り立ちます。しかしこの都市伝説を組み込んだことで、見事に時代性を出すことに成功しています。
でもその雰囲気は、この時代を何となくでもいいから知っていないと、ビンと来ないかも知れません。
60年代ファッションがチャーミングでスタイリッシュです。スカヨハもチャニングもよく似合っていました。
本作のベースはコメディですが、ロケット発射シーンの迫力は本物でした。ここだけは大きい画面で観たいですね。NASAが全面協力しているだけに、リアリティがあります。
後半に探査船に搭載するカメラの修理部品を調達するために、「最先端部品が必要だ」と言って“カラーテレビ”を探しに行くシークエンスがあります。「モノクロじゃなくて、カラーでないとダメだ」という所に時代性が出ていて泣かせます。
丁度ロケット発射を見物しようと街には人がいません。そのため電気店も閉まっています。さあどうするかー。
最後にはパトカーに先導してもらって、堂々と発射基地に戻ってくるところは痛快です。どうしてそうなったのかは、わざわざ描写されません。ここまでのケリーの活躍をみれば説明不要で納得なのです。
最後の「ところで宇宙人はいるの?」というケリーの問いに、モーの答えがホントか嘘か分からないままに、煙に巻くように去る所もいいです。踊りながら消えて行くのも小粋でした。
ヤラセはやったけど実際には?というオチも良かったです。
きれいなハッピーエンドで、エンディングも爽快です。
最後のロケット発射の意味は? はい、そういうことですね!
現在アメリカ政府が出資する有人宇宙飛行(月面着陸)計画である、アルテミス計画が進行中です。当初計画では2024年までに「最初の女性を、次の男性を」月面に着陸させることを目標としていましたが、少し遅れているようです。
本作はノスタルジックな時代を描いたコメディというだけではなく、タイムリーな企画であることが分かります。
残念なポイントもあったの?
映画として優等生過ぎるところかな
映画【フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン】のネガティブ感想
残念ポイントを挙げるとすれば「優等生過ぎる」ところです。何か新しいことにチャレンジした映画ではありません。最近の激しい映画ばかりを観て、欲っしている人には、やや物足りないかも知れません。
因みに、当然エンディングに待っているのだろうと思っていた、ジャズの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」はかかりませんでした。
もちろんポルノグラフィティの「アポロ」もかかりませんー。
この映画はラブコメ以外の面もある?
お仕事映画としてもとても楽しめるよ
お仕事映画としての楽しみ方
ビジネス映画としても楽しめます。
宇宙開発の舞台裏が描かれます。当時のNASAは経費面で苦労していました。そこにPRマーケティングのプロであるケリーが来て、NASAを改革していきます。国民や政治家の意識改革をし、周りを巻き込んでいく作戦です。
マーケティングの重要さが分かります。彼女のバイタリティ溢れる戦略は、楽しく斬新で痛快です。
彼女は目的の為なら嘘でも何でも使います。ケリーは嘘をつくと言ってもちゃんと事前に入念にリサーチしてデータに基づいているので、全部結果に結びついていきます。当てずっぽうで適当に嘘をついているのではないんですね。
彼女はスポンサーを探して、イメージ戦略に打って出ます。アポロ11号ミッションそのものを売り込むんですね。真面目で堅物のコールには考えも及ばないことなのでしょうが、コラボ戦略は、現在では各分野で当たり前に行われています。筆者も子どもたちにオメガをプレゼントした時にしっかり「宇宙に初めて行った時計だ」と説明しました。
冒頭でケリーは「スポーツカーにシートベルトが付いている」のをPRのメインにする提案をします。当時はスポーツカーにシートベルトがついているなんてカッコ悪い、という発想だったと思います。彼女はマイナスをプラスの発想に変える名人なんですね。
コラボ戦略もシートベルトも今の価値観に合致していることを観客は知っているから、ケリーの正しさがよく理解できます。上手い脚本です。
まあ月面着陸計画自体が国家のPRであり、プロパガンダが目的ですからね。ちゃんとキャラクターとテーマ性が合っています。
NASAもクリエイターもケリーもスペシャリストでプロフェッショナルです。コメディですが登場人物はみんな一生懸命仕事しています。サボってる人はいません。その姿は清々しいです。
他にも面白い話はある?
この映画は宇宙に夢や希望やロマンがあり、テレビが今以上にパワーを持っていた時代の物語なんだよ
この物語の時代性
月面着陸捏造説やオカルトブーム
1969年の人類初の月面着陸に関して昔から囁かれている捏造説を題材にしたドラマです。みんな都市伝説とか好きですよねぇ。特にアメリカ人は陰謀論好き。
20世紀の終り頃にオカルトブームというのがありました。「ノストラダムスの大予言」とか流行ました。月間「ムー」が発刊されたのもこの頃です。UFOや心霊写真の本や雑誌が沢山出て、テレビでもしょっちゅう特集が組まれてました。「川口浩探検隊シリーズ」とかやってました。今ではそういう番組は全く見かけなくなりました。昭和はミステリーにロマンがありました。
筆者が中学生の担任(英語教師、ルックスも体格もはゴリラでマジ恐い)の先生はオカルト好きで、放課後の教室に生徒を残らせて、ピラミッドの工作を作ったりしてました。「ピラミッドには特殊なパワーがあって、下にバナナを置いておくと腐らない」とまことしやかに言って、実験してました。今ではそんな教師はアウトでしょうねぇ。懐かしい思い出です。
筆者も「有人月面着陸捏造説」を聞いたことがあります。空気がないのに、アメリカ国旗が揺れているのがおかしいのだとか。その他にも色々と噂がありました。Wikipediaにもちゃんと載ってるのが面白いです。今でも信じてる人がいるんですねぇ。だから本作のネタにもなった訳ですが。
アポロ計画とテレビの時代
政治的には民主党のケネディが立てたアポロ計画を、共和党のニクソンが実行している歪な時代です。
ベトナム戦争が泥沼化している頃で、アポロ計画は人気が無くなっています。ニクソンはベトナム戦争から国民の関心を逸らすために、アポロ計画に目を向けさせたかった。それでケリーが雇われるということになる訳です。話の流れとして良く出来てます。
時は対ソ時代。当時のアメリカは宇宙開発競争でソ連に完全に遅れをとっている頃で、NASAは人気が落ちて予算が取れず、資金が足りません。ここにケリーの能力が活きることになります。
モーが持ってきた月面探査船に搭載するカメラは、ベトナム戦争用に開発された物だという説明がありました。ここも上手いです。
ロケット技術も当然軍事利用に転用されます。科学技術の負の側面にもサラッと触れているんですね。
当時はテレビの役割や可能性が大きく飛躍した時代です。
アポロ11号の月面着陸は、全世界生中継されました。月着陸船イーグルは、日本時間の5時17分に月面に着陸。この時の映像は世界40か国以上に同時中継され、5億人以上の人々が見ていたといわれます。
「NHKの調査では、日本では昼間となった人類初の月面歩行をテレビ同時中継で見た人は68%、21日中に他の番組で見た人を含めると91%に達した」(wikiより)そうです。
世界では人口の20%の人々が、人類が初めて月面を歩く瞬間を見ていたといいます。凄まじいですね。今では考えられない数字です。テレビがパワーを持っていた時代です。
当時はまだまだアナログの時代です。今のようなデジタル機器やAIはありません。部品は全部手作りの特注品。そんなものをよく宇宙へ飛ばしたと思います。信じて搭乗する乗組員の度胸も半端ないです。全く頭が下がります。
月面着陸捏造説を元ネタとした映画
月面着陸捏造説を元ネタとした映画といえば、『カプリコン・1』(日本公開1977年、アメリカ公開1978年)を思い出します。
この作品は月ではなく、有人火星着陸を国がやらせで行うという話でした。SFというより、社会派サスペンス寄りの作品でした。O・J・シンプソンが出てましたね。製作途中でNASAが協力をおりたことでも有名です。
1977年といえば『スター・ウォーズ』(アメリカ公開1977年、日本公開1978年)や『未知との遭遇』(同)と同じ公開年です。
アポロ11号関連で言えば『ファースト・マン』(2018年)も思い出します。本作とは真逆のトーンの作品でした。
映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』のおすすめポイントまとめです
映画【フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン】の推しポイントまとめ
筆者はとても楽しみました。好きです。
スマートでテンポよく、明るくてユーモラス。小粋でおしゃれです。笑顔でポジティブな気分になれます。脚本が良く出来ていて、センスが良いです。
キャストもとても魅力的。登場人物に悪意がないので気持ちよく観られます。
コメディなので気軽に観られる所もポイントが高いです。そのコメディ要素は行き過ぎておらず、全てが丁度いい塩梅です。
お仕事映画の側面も持っていて、メッセージ性もあります。現代のフェイクやCG全盛社会への風刺にもなっていて、意外に深く、スパイスが効いたラブコメとも言えそうです。
内容は盛りだくさんで、様々なことを多角的に描いています。伏線回収も上手いです。上映時間132分とやや長めですが、全く長さを感じませんでした。
当時の時代性とチャー厶がとても上手く表現されています。そして懐かしい映画の良い雰囲気を持っています。「映画ってエンタメだよね」ということを思い出させてくれます。
ベタ褒めになっていますが、ホントに大きく悪いところがないんですよね。万人におすすめできます。子供でも、カップルでも、サラリーマンでも、何回観ても楽しめる作品です。
肩肘張らずに観れて、美男美女が出てきて、ちょっと風刺や社会性、時代性にも触れて、エンタメとしてしっかり楽しませてくれて、ハッピーな気持で映画館をあとにできる。もっとこんな作品が増えて欲しいなと思います。今年一番のラブコメお仕事映画と言えるんじゃないでしょうか。
日本では洋画が苦戦する時代です。本作みたいな作品に頑張ってもらいたいですね。
いかがだったでしょうか。
ぜひもう一度この映画を観ましょう!
そこにはきっと気付かなかった感覚や楽しさ、新しい発見があると思いますよ。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。